こんにちは。あづみです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
前回は、病院で行われる治療についてお話しました。
今回は、うつ病治療で行われる心理療法の一つ、「認知行動療法」についてお話します。
認知行動療法は簡単に言うと、「自分の考え方の癖を知りコントロールする方法を学習する治療法」です。
自分の考え方の癖、意識したことはありますか?
この治療方法は、考え方を根本から見直すので、うつ病治療の効果が高く、再発予防にも繋がります。
また、考え方にアプローチする治療法なので、アダルトチルドレンの治療にも効果が期待できるんです。
どんな治療法なのか、どのような経過を経て改善されていくのか詳しく説明していきますね。
うつ病治療「認知行動療法」とは
認知行動療法とは、「物事のとらえ方」や「主観」にアプローチしていく治療法です。
例えば食べ物や趣味、好きな異性のタイプなど人それぞれ違いますよね。
人によって考え方は違って当然です。
しかし、それは「クセ」になっている考え方かもしれません。
自分の考え方のクセを知り、なぜこのように考えるのか掘り下げ、考え方を変えていくことで思考、そして行動を変えていくのが認知行動療法なのです。
よく似た治療法として「カウンセリング」があります。
カウンセリングと認知行動療法の境界はあいまいで、厳密な違いを説明するのは難しいですが・・・。
私としては
カウンセリングは「相手の思いを引き出し、気付かせること」
認知行動療法は「思い、考え方に気付かせ、対策方法を身に付けること」
と思っています。
カウンセリングでは、相手の感情や思いが表出できるようサポートします。
相手の心を整理しながら、相手自身も気が付いていなかった感情や思いに気が付いてもらうことを目標としています。
認知行動療法は、自分の感情に気が付いた上で、「ではどうすれば良いか」を考え、対策方法を身に付ける療法です。
私はカウンセリングよりも一歩踏み込んだ治療であると考えています。
認知行動療法は「考え方」を変える療法なので、薬で心配される「副作用」もありません。
安全性の高さも魅力と言えますね。
さらにこの治療法を行うことで考え方自体が変化し、落ち込むことが少なくなったり、自分で気持ちを切り替えられるようになったりします。
気持ちが前向きになりやすい、リセットしやすい状態だと、うつ病を再発するリスクが低くなります。
うつ病再発予防にも最適な治療法の一つとも言えます。
またうつ病やアダルトチルドレン以外にも
- PTSD
- パニック障害
- 強迫性障害
- 摂食障害
など様々な精神疾患でも高い効果あるとされています。
認知行動療法の具体例
「考え方のクセを知る」といわれてもピンとこないかもしれません。
ここで具体例を挙げて説明していきますね。
イメージしてください。
あなたは仕事の後、友人と会う約束をしていました。
しかし、残業になってしまい、約束の時間に間に合いそうもありません。
友人に「遅刻する」と連絡を入れましたが返事がない・・・
この時あなたならどう考えるでしょうか?
心理学を学ぶ前の私なら、「友人を怒らせてしまった・・・」と考え、約束を守れなかった自分を責め、自己嫌悪に陥っていたと思います。
そして、罪悪感から「会うのをやめよう」と考え、以後もその友人との接触を避けるようになっていたのではないかなと思います。
以前の私と同じように「相手を怒らせてしまった」と考える方は多いのではないでしょうか?
認知行動療法ではこの「相手を怒らせてしまった」という考えを深堀りしていきます。
あなたはなぜ「相手を怒らせてしまった」と考えるのでしょうか。
約束の時間に間に合わないから?
相手を待たせることになるから?
ほかにも色々挙がると思います。
しかし、そもそも相手は本当に「怒っている」のでしょうか?
連絡に気が付いていないだけかもしれません。
返事をし忘れているだけかもしれません。
そう考えてみると、自己嫌悪に陥ることなく、相手を避けることも考えないのではないでしょうか。
ちなみに今の私なら「友人は連絡に気が付いていないだけ。残業なら仕方ないって思ってくれる」と考えます。
そして「待たせたお詫びにスイーツでも持っていこうかな。友人の好きなスイーツは・・・」なんて考えながら仕事をすると思います。
ここで注目していただきたいのは、なぜ「返事がない=怒っている」と考えてしまうのか、という部分です。
人は自分の考えや感情に基づいて行動します。
「この人は自分の事に好意を持ってくれている」と考えると相手にプラスの感情を持ち、積極的に関わるようになります。
「この人は自分の事が嫌いに違いない・・・」と考えると相手にマイナスな感情を持つようになり、関りを避けようとします。
考えが変われば行動も変わっていきますよね。
このように、あなたの考えの傾向や思い込みを知り、あなたを苦しめる考え方を改善し行動を変えていくのが認知行動療法の流れです。
認知行動療法は様々なシチュエーションやパターンを想定して行われ、考え方の癖を変えていきます。
アダルトチルドレンへの効果
アダルトチルドレンの方は、幼少期に親から影響を強く受け「親に気に入られる自分でいなくては」と強く考えるようになります。
以前の私がそうでした。
アダルトチルドレンにも様々なタイプがいますが、「自尊心が低い」ことが共通しています。
アダルトチルドレンのタイプについてはこちらで詳しく説明しています。
アダルトチルドレンとは?6つのタイプから見る特徴と生きづらさ
アダルトチルドレンの方は機能不全家族の下で育つため、考え方や物事のとらえ方が歪んでしまいやすいです。
これを「認知のゆがみ」と言います。
認知のゆがみについてはこちらの記事で触れているのでぜひご覧ください。
アダルトチルドレンの方はこの「ゆがみ」が考え方の根本にあり、ゆがんだ考え方を自分にも相手にも押し付けてしまうため苦しくなってしまいます。
私は、心理学を学びながら、実際にセルフカウンセリングをしました。
自分が「当たり前」と思っていた考え方が、「認知のゆがみ」からくるものだと知ったときの衝撃は今でも忘れません。
しかし、「自分の認知はゆがんでいるんだ」と自覚したことで「じゃあどう考えれば良いのか」と考えることができるようになりました。
おかげで、以前の私とは比べ物にならないほど前向きに考えられるようになりました。
認知行動療法では、アダルトチルドレンの根本にある「ゆがみ」にもアプローチできます。
自分を苦しめる原因と向き合わなければならないので辛い時もあります。
しかし、自分と向き合うことで少しずつ考え方が変わり、最終的にはアダルトチルドレンからの脱却にも繋がっていくのです。
認知行動療法の実際
認知行動療法は心療内科や精神科の病院、民間のカウンセリングルームなどで行われます。
行われ方もそれぞれの施設で違います。
- 少人数のグループ(医者やカウンセラー含む)でプログラムに沿って進めていく
- 医師またはカウンセラーと1対1のカウンセリング
この2パターンが多いです。
どちらのパターンでも、まずは情報収集から始まります。
あなたはどういう人か、なぜうつ病になったのかなど状況を整理しながら分析し、問題点を見つけていきます。
そして、問題点の改善を目標に治療を受けます。
内容としては
- 医師またはカウンセラーから辛い・苦しい症状が起こるメカニズムの説明
- 患者が体験談、思いを話す
- ある場面を想定して、どう考えるか演習してみる
などがあります。
グループの場合だと、ほかの参加者の話が聞けるのが大きなメリットです。
同じような苦しみを持つ人の話を聞くことで、「自分はどうだろう」と振り返るきっかけが得られます。
また「仲間がいる」と思えることで、治療に対して前向きにもなれますよ。
1対1のカウンセリングだと医師またはカウンセラーとしっかり対話できるので、自分の聞きたいことがしっかり聞けるというメリットがあります。
治療も個人に合わせた内容で進んでいくので、周囲を気にせず進めたい人にはおすすめです。
認知行動療法の弱点
うつ病にもアダルトチルドレンにも効果的な認知行動療法ですが、弱点もあります。
ここでは認知行動療法の弱点についてお話していきます。
効果が出るまで時間がかかる
長い時間をかけて作られた「考え方の癖」は残念ながら短期間では変わりません。
認知行動療法でアプローチをしても効果を実感するのに時間がかかります。
どれくらいかは個人差がありますが、半年はかかると思った方が良いでしょう。
効果を感じにくいとモチベーションを維持するのも大変ですよね。
短時間で「効果」は感じにくいかもしれませんが、毎回「発見」はあると思います。
自分を客観的に見て、今まで気が付かなかった考え方の癖を「発見」したり、周囲の人から話を聞くことで今まで自分が知らなかったことを「発見」したり・・・。
「発見」を意識し積み重ねていくことで、それがやがて「効果」として現れてきます。
「効果」を実感するまでの期間、「発見」を楽しんでみてください。
合わない人もいる
どの治療方法にも言えることですが、認知行動療法が合わない人もいます。
例えば、気分の落ち込みなどの症状が強く出ている人には合いません。
自分と向き合うことで症状を悪化させる恐れがありますからね。
認知行動療法は、症状が落ち着いてきた時期に適した治療方法です。
認知行動療法を受けるタイミングは、医師に相談することをおすすめします。
長い間人と話したり、人の話を聞くのが辛い人も合わない可能性があります。
認知行動療法は対話がメインとなるため1回の治療に時間がかかるので、対話することが苦手な方にとっては苦痛が強いかもしれません。
しかし対話が苦手であることを事前に伝えておけば、短時間で対話も少なくできるよう配慮してくれる場合もあるので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
実施している機関が少ない・費用がかかる
認知行動療法はすべての心療内科・精神科の病院で行われているわけではありません。
カウンセリングルームだと行われている場合が多いですが、費用が高くなる傾向があります。
近くで実施している機関が近くにない、あるけれど費用が高く通えないという方も多いと思います。
そんな方へ「自分でできる認知行動療法」をお伝えしますね。
自分でできる「セルフ認知行動療法」
認知行動療法には様々な方法がありますが、簡単に取り組める方法をご紹介します。
それは、「日記を書くこと」です。
日記と言うとその日の出来事をしっかり書かなくてはと思いがちかもしれませんが、その必要はありません。
短ければほんの数分程度で終わりますし、調子が悪い時や気分が乗らない時は書かなくても良いです。
「やろうかな・・・」と思った時に取り組みましょう。
場所・時間を問わず、自分の都合が良い時に取り組めますし、家にあるもので行えるのでお金もかかりません。
人と話すのが苦手な人にもおすすめです。
デメリットは特にない方法だと思っています。
ただし、自分で取り組む場合、必ず主治医に確認してから行うようにしてください。
それでは書き方をご説明しますね。
辛かったことを書く
まずその日にあった「辛かったこと」を書いてみましょう。
その時、一緒に「感情」も書いてみてください。
1つでも良いですし、思いつく限り書いても良いです。
先ほどの具体例の内容で書いてみますね。
「友人と会う予定だったのに残業することになり、約束の時間を守れなかった。悲しい。罪悪感。」 |
という風に短文、単語で構いません。
何が辛かったのか、どう感じたのかを書くことが大切です。
書くことで気持ちを発散することができます。
そして「私はこれが辛かったんだ」と客観的な視点で気づけます。
自分の「思考」を考える
次は、自分は「なぜ」その感情を持ったのか考えてみます。
先ほどの例に当てはめてみますね。
「悲しい」
なぜ?→いつも同僚に終業直前に残業を頼まれる。今日は友人に会う事を伝えていたのに・・・。
「罪悪感」 なぜ?→待たせてしまったから。友人から「遅かったじゃん」と言われ余計に申し訳なく思った。 |
このように、自分がどう思ったのか、どう考えたのか書きましょう。
書いていくとだんだん自分の思考パターンが分かってきます。
これが「考え方の癖」です。
「でも」を考える
次は先ほど書いた自分の考えに「でも」をつけて考えてみます。
「悲しい」
なぜ?→いつも同僚に終業直前に残業を頼まれる。今日は友人に会う事を伝えていたのに・・・。 でも→効率を考えて残業をしたので、予想よりも早く終わった。同僚の仕事をしている私に気づいた上司が声をかけてくれた。
「罪悪感」 なぜ?→待たせてしまったから。友人から「遅かったじゃん」と言われ余計に申し訳なく思った。 でも→友人は笑顔だった。「残業押し付けるとかありえない!!」と私ではなく、私に残業を頼んだ同僚に対して怒っていた。 |
こうしてみるとどうでしょうか。
そんなに悲観的に考えなくても良いかなと思えませんか?
辛い出来事があってもこうやって反論を考えると意外とプラスの発見があります。
できればこれを書きながら思ったことも書いておきましょう。
例えば
- 人の予定無視して残業ふってくるなんてひどい。今後は残業頼まれても断ろう
- 私の代わりに怒ってくれるなんて、良い友人持ってるよな
など、
感情をそのまま書いておくと気持ちの変化に気が付きやすいです。
感情や考えを書くことで客観的に自分の事を見られるだけではなく、頭の中の整理もできるので気持ちがリセットされやすくなりますよ。
紙に書くのが難しい場合はスマホでメモ程度に書くのでも良いです。
大事なのは自分の感情や考えを「可視化」することですからね。
自分の「感情」を知り、なぜそのように感じたのか「考え方の癖」を探り、その考え方に「反論」すること。
これを繰り返すことで、うつ病やアダルトチルドレンの考え方を治していくことができます。
調子の良い時に少しずつ取り組んでみてくださいね。
認知行動療法を活用しよう
認知行動療法は自分の「考え方」にアプローチし、自分を苦しめる「認知のゆがみ」や「考え方の癖」を治していく治療です。
自分と向き合う必要があるので苦しい時もありますし、効果を実感するのに時間はかかります。
しかし、自分を苦しめる考え方から解放されるだけではなく、うつ病再発の予防にも繋がる治療法なのでぜひ取り組んでいただきたいなと思います。
医師やカウンセラーの力を借りながら取り組むと効果を確実に実感しやすいです。
しかし、プロの力を借りられなくても、自分で行う「セルフ認知行動療法」を行えば、自分の感情や考え方を見つめなおすことができるので、チャレンジしてみてくださいね。
次回はうつ病治療とリハビリについてお話していこうと思います。
うつ病から日常生活へ復帰する際、「リハビリ」が必須であると私は考えています。
その理由を詳しくお話しますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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